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触図のご紹介

 実は、昨年製品化したバリアフリーカレンダーから遡ること、約10年前から取り組んでいたプロジェクトがあります。

それはバリアフリーカレンダーの原点ともいえる“浮出し”で表現した、地図の研究です。
 世の中では視覚によって得る情報が多くを占めることで、視覚に障害のある方は情報弱者とも呼ばれるほど、情報へのアクセスに乏しい実情がありました。
ちょうどその頃、点字印刷の製品化に成功した弊社では、視覚に障害のある方が図に触れて情報を得られないかと考え研究を始めました。

 将来的な活用法は未定でしたが、多くの可能性を探るため紙以外にもプラスチックなど5種類ほどの素材を試しました。
その中から2点の結果を写真でご紹介します。

版は、以下の2種類を使用しました。
1.日本地図
 日本全体を線で囲うように浮出し、各地方から1つ都道府県を点字で表記しています。

2.日本点字図書館道案内図
 高田馬場駅から日本点字図書館までの地図を浮出します。
 途中で目印となる建物には、それぞれ活字と点字で表記しています。

・紙 (日本地図・日本点字図書館道案内図)
 日本地図  DSC_0140-1  日本点字図書館道案内図  DSC_0132 道路の浮出しがわかりづらいので裏からの写真です。
道路の中の点線は駅からの最短ルートを表しています。  DSCN0599 どちらも浮出し・点字ともにバランスよく仕上がりました。
ちなみに道案内図は、実際に日本点字図書館内に置いていただきました。

・プラスチック板 (日本地図)
 1445057473805 実際は透明の板ですが、わかりづらいので背景を黒にして写真を撮りました。 地図の線は、紙以上によく浮き上がったのですが、材質上、指のすべりが悪いため点字は読みづらい結果となりました。

この研究はしばらく中断していましたが、製品化に向けて本格的に始動していきます。
地図はもちろん、バリアフリーカレンダーをはじめ“触って楽しめる製品”の開発にも取り組んでいく予定です。



2016年版
バリアフリーカレンダーの
製作過程を公開! Part3

第3回目は、改良点の調査についてです。

平成27年8月
◆2015年版カレンダーからの改良点

 前回から少し時間が経過しましたが、第2回目以降も引き続き、浮き上げのテストを行っています。
それと併せて、昨年製作した2015年版カレンダーの改良点について調査を行いました。
高さのことは勿論ですが、数字の大きさ・太さ、色、使いやすさなど、 2016年版はより機能性に優れたカレンダーにしていきます。

 まず点字図書館や視覚障害関係施設に依頼し、職員の方や施設の利用者にご意見を伺いました。
すると、数字の大きさを“小さくした方がいい”との意見が多くありました。
これは、浮出た数字を指でなぞる際に、数字全体が指に収まっていないと認識に迷いが出ること。
それによって読むのに時間が掛かり疲れてしまうため、とのことでした。

 また意外だったのは“点線”についての意見でした。 26 !cid_5424972F-DC51-4065-BC55-FA12F46589EC バリアフリーカレンダーでは、祝日の場合、数字の下に点線を引くことで他の平日や休日との違いを表現していましたが、点1つ1つが小さく間隔も狭いために、触ると1本線にも読めてしまうということでした。
確かにこれでは、何を意味しているのかわからず迷ってしまう可能性も考えられます。

日常的にバリアフリーカレンダーに触れているはずの私たちでも気がつかない事が多くあり、非常に収穫の多い調査となりました。

今回の調査結果をもとに、新たに発見した改良点にも着手していきます。



2016年版
バリアフリーカレンダーの
製作過程を公開! Part2

第2回目は、新たな版の完成とそれを使った試作についてです。

平成27年6月19日
◆版の完成
 前回(6/16)、さらなる改良を目指し製版会社との打ち合わせをした結果、新たに2種類の版の製作を依頼。 その3日後、完成した版が届きました。

平成27年6月20日
◆新しい版を使った浮出しのテスト
 早速、新たな版での試作を行いました。

結果を写真で比較をしてみます。
最初は従来の版での試作 DSC_0112 浮き出た高さが不十分なせいか、文字に丸みを帯びていて、ふっくらした仕上がり。

続いて新しい版での試作 DSC_0111 こちらは文字に高さが出たことで、くっきりとしたシャープな印象。
指で触った感じも良く、一層読み取りやすい高さへと浮き上がりました。
そして何より、“しわの出ない”範囲でここまで浮き上がったことが一番の収穫でした。

ちなみに、実際にしわが出てしまった際の写真です。 DSC_0124-1 文字はすごく浮き出ていますが、数字の下部にしわが出てしまいます。
これでは見た目も悪く、触って読む際にも邪魔になり誤読の危険性もあるのです。

今回の試作の結果をふまえ、視覚に障害のある方にも安心してお使い頂けるよう、 しわに注意しながら
ハッキリと読める高さを出せるよう今後も改良していきます。


2016年版
バリアフリーカレンダーの
製作過程を公開! Part1

現在製作を進めている「2016年版 バリアフリーカレンダー」の製作過程をご紹介します。
すべてをお見せすることは出来ませんが、本製品への思いやこだわりポイントなど、カレンダー完成までのプロセスを、日付を追いながら数回に分けてご紹介していきます。

第一回目となる今回は、浮き出しの基礎となる“版作り”についてです。

平成27年6月16日
◆触って読める文字を高く浮き出す試作
  バリアフリーカレンダー最大の特徴である、“触って読む”ことを 可能にする文字の浮き出しは、当然浮き出す高さが高ければ読みやすくなります。 しかし、浮き出す高さのみを追求すると、浮き出す際に紙が引っ張られるため紙にしわが寄り、破れてしまうこともしばしば。
今年の2015年版からのさらなる改良を目指し、十分な高さを確保するための試作を行いましたが、高さを出すことにこだわった結果、文字の浮き出た高さは上がるものの、見た目が悪く製品として出せるものではありませんでした。
いかに、しっかりと読める文字の“高さ”と見た目の“美しさ”のバランスを保てるかがポイントでした。
そこで重要な役割を、用紙と版が担うのです。


◆製版会社との打ち合わせ
  紙を浮き出す際に使用する版は、 “雄型と雌型”(※写真参照 左:雌型、右:雄型)の版を組み合わせて出来ています。
DSC_0099 この組み合わせの調節こそが見た目に気を遣いつつ、十分な高さの確保へと繋がります。

そこで製版会社の営業の方に相談にのっていただき、
1.版の組み合わせの比率を多少変更する
2.営業の方のオススメの版を製作する

新たにこの2点での改良を進めることにしました。



箔押製品のご紹介

真美堂で箔押を担当させていただいた作品をご紹介いたします。

今回は、
「ウユニ塩湖 心を整える100の言葉」 いろは出版  DSCN0577 普段、書籍のカバーをメインに箔押をおこなっている中、帯への箔押は珍しいこともありご紹介させていただきました。

今回本書では、帯への箔押(金色)を担当させていただきました。
作業はシリンダーという機械に、版を3個付けておこないます。シリンダーでは1度に複数枚の箔押が可能となるため、 版の取り付けや準備に時間はかかりますが、枚数の多い場合にはシリンダーでの作業が基本となります。
DSCN0574 上下に連なる枠と、水玉模様に金で箔押を施しました。
Facebookのページでは、箔が押されて機械から出てくる様子も動画で公開しておりますので、是非そちらもご覧になってみて下さい。

今後も作品を継続的にご紹介していきます。



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