実は、昨年製品化したバリアフリーカレンダーから遡ること、約10年前から取り組んでいたプロジェクトがあります。
それはバリアフリーカレンダーの原点ともいえる“浮出し”で表現した、地図の研究です。
世の中では視覚によって得る情報が多くを占めることで、視覚に障害のある方は情報弱者とも呼ばれるほど、情報へのアクセスに乏しい実情がありました。
ちょうどその頃、点字印刷の製品化に成功した弊社では、視覚に障害のある方が図に触れて情報を得られないかと考え研究を始めました。
将来的な活用法は未定でしたが、多くの可能性を探るため紙以外にもプラスチックなど5種類ほどの素材を試しました。
その中から2点の結果を写真でご紹介します。
版は、以下の2種類を使用しました。
1.日本地図
日本全体を線で囲うように浮出し、各地方から1つ都道府県を点字で表記しています。
2.日本点字図書館道案内図
高田馬場駅から日本点字図書館までの地図を浮出します。
途中で目印となる建物には、それぞれ活字と点字で表記しています。
・紙 (日本地図・日本点字図書館道案内図)
日本地図
日本点字図書館道案内図
道路の浮出しがわかりづらいので裏からの写真です。
道路の中の点線は駅からの最短ルートを表しています。
どちらも浮出し・点字ともにバランスよく仕上がりました。
ちなみに道案内図は、実際に日本点字図書館内に置いていただきました。
・プラスチック板 (日本地図)
実際は透明の板ですが、わかりづらいので背景を黒にして写真を撮りました。
地図の線は、紙以上によく浮き上がったのですが、材質上、指のすべりが悪いため点字は読みづらい結果となりました。
この研究はしばらく中断していましたが、製品化に向けて本格的に始動していきます。
地図はもちろん、バリアフリーカレンダーをはじめ“触って楽しめる製品”の開発にも取り組んでいく予定です。